人間の行動原理はただ一つ


 
さて、人間の全ての行動には目的が有ると書きましたが、もう少し考えを進めてみましょう。
人間が行動する目的と言ったって、やためったら支離滅裂に有るわけでなく、実はちゃんと法則があるのです。

その法則とは、

“現状よりも幸福な状態になるため”

と、とてもシンプルな法則です。
 
まあ科学的に“幸福”“を定義することは難しいのですが、ここでは人にとってポジティブな感情であるとしましょう。
例えば満足とか充足とか、嬉しい、楽しい、大好きといった感情を、ここではまとめて幸福としましょうか。
 
そして人間は必ず、現状(何もしない)よりも幸福に向かう行動をするのです。(後に述べるかもしれませんが、おそらく動物だってそうでしょう)

例えば短期的な行動の例ならば、ファミリーレストランに行くのは“空腹”という現在の不幸な状態から、“美味しい”や“満腹”と言った幸福な状態になるための行動と言えるでしょう。
ディズニーランドなどに遊びに行くのだって、“暇だ”“つまらない”などの状態から“楽しい”という幸福な状態になるためです。
一見嫌なことに見える、朝早く起きて学校に行くや会社に行くにしても、行かなければ後々より不幸な状態になるからでしょう。
行動しなければより不幸な状態になるならば、行動した方がそれよりも幸福度がマシな状態になると思うからこそ、頑張って早く起きて会社や学校に行くわけですね。
 
少し長期的な幸福を目指す例ならば、受験勉強などは未来の幸福な状態に向かっている行動でしょう。
スポーツの苦しい練習だって、頑張れば試合で勝てるなど幸福度を上げる未来が待っていると思えばこそ出来るのでしょう。
或いは大人が仕事で頑張るのも、そうすれば未来に良いことが有ったり、何らかの形で(金銭的だったり精神的だったり)自分が満足すると思っているからですよね。
 
もちろん、目先の幸福度を優先して学生時代に勉強せずに遊びまくって将来苦労する、というケースだってありますが、それも目先ではありますが“楽しさ”という幸福な状態を目指しています。
逆に人は、何もかもが不幸になると判っている方向に向けた行動はしないのですよ。 まあ、考えてみれば当たり前ですね。 

人間の行動原理は全て、現状よりも幸福な状態になるためである。

この法則は極めて妥当であり、なんとこれから自殺する人でさえ、現状よりも幸福な状態を目指しているのですよ。
つまりこのケースでは現状が死より不幸で辛いということですね。 まあなんとも皮肉なはなしですが……。
 

ですがそうすると次に、当然のようにこの様な疑問が出てくることでしょう。

「では幸福とは何なのか?」

と。
 
でも残念ながら、国も人種も年齢も性別も関係なく、ありとあらゆる人に当てはまる“これが幸福です”といった、万人が合意する答えはありません。
それこそ人それぞれの価値観や状況にもよりますからね。

よって、“絶対的な幸福”なんてものは定義できない。
と言うのが従来の文系の人たちの答えですね。

実際に「幸せって一体何さ?」といった問いは良くありますが、その答えが出たことはないでしょう。
もし答えを出す人が居たとしたら、その多くは科学よりも宗教とかそういう類の物をベースとしているはずです。
 
ですがここで終わっては本サイトの意味がありません。
 
確かに”これが幸福だ”、という科学的に統一された答えはありませんが、幸福については科学的にある所までは解っているのです。
「全部が完全にわからないのなら諦める」という選択をせず、解るところまで解明しようというのが科学の基本スタンスなのです。

では科学的に幸福とは何なのか? 
それについては今後、少しずつ書いていきましょう。


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