ずば抜けた才能が無い人が成功する方法


Appleの創業者、スティーブ・ジョブズは言いました。
 
「点と点を繋げる」
 
今回はこの言葉の意味について考えてみましょう。
全員ではないにしても、どこかの業界でトップになって成功することを夢見る人は多いと思います。メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手を見て「自分にもあんな才能があったら」と思うこともあるかもしれません。
 
勉強にしろスポーツにしろ芸術にしろそれ以外の分野にしろ、“これだけは誰にも負けない”というトップクラスの能力がある人は、それを仕事にすると成功する確率が高いことでしょう。
でもそんなことは分かっていても、殆どの人はそんなずば抜けた才能に恵まれていないことも確かです。皆が才能に恵まれていたらそれは才能とは呼べなくなってしまいますから、これは当たり前ですね。
 
ここで一つ、サンプルを出して考えてみましょう。
例えば子供の頃からピアノを習っている女の子(仮にA子としましょう)が居たとします。小学生時代ならば一生懸命練習すればきっと、学年で一番上手にピアノを弾けるくらいにだったらなれることでしょう。
ですがやがて中学に進学し、高校まで進学すると学校にはA子よりも上手にピアノを弾く人が居るかもしれませんね。
更に一流音大のピアノ科に入れるのはきっとごく一握りでしょう。大人になる過程で、普通の人たちはどうしても“才能の壁”というものにどこかで当たります。A子はここで脱落しました。

また仮に音大のピアノ科を卒業しても、プロのピアニストになれる人は更に少ないことでしょう。もともとピアノは競技人口が多いので、プロになるためには極めて才能と環境に恵まれていないと不可能だと思います。
さて、ではA子はピアノを職業にして成功することは不可能なのでしょうか?
そこでジョブズの言葉がヒントとして意味をなしてくるのですよ。
 
仮にA子のピアノの実力が全国で1000番目だったとしましょうか。もしプロのピアニストになれるのが全国で100人しか居ないとしたら、A子はピアノの実力で最低でもあと900人を追い抜く必要がありますね。競技人口が多いピアノの世界はレベルが高いので、これはかなり困難です。
では例えば、A子が他に何らかのスキルや特技を持っていたとしましょう。それが趣味であっても何でもかまいません。

例えばA子には写真や動画撮影をしてそれを編集する趣味があり、動画編集ソフトもある程度使いこなせたとしましょう。だからといって恐らく動画編集で食べていくことは不可能です。A子のスキルは素人に毛が生えた程度であり、とてもテレビ局や番組制作会社で通用するレベルではありません。
ところが、、、です。A子以上のピアノのスキルを持っていて、且つ、A子以上の動画編集スキルを持っている人の数はピアノだけの時よりも大きく減ったことでしょう。
きっと双方の能力でA子を上回る人の数は、ピアノだけの時の999人から100人以下程度に下がったのではないですか?
 
更にA子は学生時代に家庭教師のアルバイトをしていて、普通の人よりも子供達にものを教えるのが上手だったとしましょう。
では全国にA子よりもピアノを弾くスキルが高く、且つA子よりも動画編集のスキルが高く、且つA子よりも子供に教えるスキルが高い人はどれくらい居るでしょうか?
 
“且つ”というのは数学の世界では“論理積”と言います。コンピューターの世界では“AND演算子”として知られていますね。

これこそがスティーブ・ジョブズが言った、“点と点を繋げる”ことなのです。

ジョブズは「今は意味や目的が分からず習っている複数のことが、将来、点と点が線によって繋がるように一本になり必ずどこかで役に立つから、しっかりとそれらを線で繋げよ」的な意味で言っていますが、私の解釈も正しいと思いますし、実際にジョブズ本人はそうしていました。
ジョブズはコンピューターの知識や技術は共同創業者のウォズニアックには敵いませんでしたし、経営のスキルもそれ程無かったためにペプシの社長を引き抜いてAppleの社長に迎えました。
芸術的なセンスだってプロの芸術家には敵わなかったでしょうし、部下達への人心掌握力もそれ程ではなかったようです。(実際に取締役会で役員を解任され、創業者でありながら実質的に解雇される)
また容姿がカッコいいとはいえ、プロの俳優には劣ることでしょう。
 
ですがこれら全てのスキルを論理積で合わせたときに、彼を上回る人物は全米に居なかったのです。
 
A子が成功するためには、得意なこれら3つを線で繋げる必要があります。
ピアノ演奏、動画編集、人に教えるスキル、これらを一つの線で繋げるとしたら、例えばYouTubeを使ってピアノを教える教育系ユーチューバーになるというのが一つの選択でしょうか。
もしトータルの能力でA子を上回る人が全国に5人しか居なければ、それを仕事に出来るレベルに成功できるかもしれませんね。更にもしもその5人の中の4人が男性だったなら、少しの努力で唯一無二の存在になれる可能性だってあるでしょう。
 
論理積というのは、データを様々な条件で絞るときによく使われます。今回の例では一つの能力がずば抜けていなくとも、ある程度の能力を持った特技が多ければ、それらを線で繋げる事で希少な人材になれる計算になるのです。
この手法ならば普通の人だってどこかの業界でトップになれる可能性があるでしょう。

ジョブズの原語通りに言うなら、
“connecting the dots”
 
天才的な才能に恵まれた人たちは置いておいて、色んなことをやったけど一つも物にならなかったと嘆いている器用貧乏系の人は、是非こんな考え方をしてみて下さい。もしかしたらあなたにも、唯一無二になれる様な最適解が見つかるかもしれませんよ。


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