曇天の友


今はどうか知りませんが、私が中学生の時代には毎週月曜日に全校朝礼がありました。
これは全校生徒が体育館に集められて行われるものでした。
そこでは毎回、校長先生の長話が行われ、退屈極まりなかったことを良く覚えています。

でもそんなつまらない校長の話の中にも、いくつか記憶に残る物がありました。
その中の一つが、「曇天の友」のお話です。

校長によると、人生には「晴天の日」と「曇天の日」があるとのことでした。
晴天の日とは、色んなことが上手く行っている時や成功している時のことです。
そして曇天の日とは、何かに失敗したり上手く行っていない時のことです。

つまり人生の山や谷を、校長は天気に例えたわけです。

色んなこと上手く行っている時には、勝手に人が寄ってくるものです。
例えば大金を稼いだら多くの人が寄ってくるし、或いは有名人になったら親戚や友人が増える(笑)というのは有名な話でしょう。

逆に悪い時、例えば何か事故を起こしてしまったり、現代ならば失言などで炎上して叩かれている時などは、近くにいた人が皆、潮が引くように去って行きますね。

校長は、その悪い時にこそ去らずに近くにいてくれる人こそが本当の友人だと言うと、

「曇天の友を持て!」

と全校生徒に向かって声高らかに叫びました。

若い皆さんはまだ判らないかも知れませんが、これは真を含む言葉だと思います。
そして「曇天の友」は一生を通じて何人も出来ません。

最近は親友という言葉が簡単に使われていますが、私の親友の定義はこの「曇天の友」です。
色んなことが上手くいっている時には意外と親友は見つからないものです。

ですがいざという時に利害も損得も考えず去らずにいてくれる人が居たなら、大切にしましょう。
きっと生涯の付き合いになるはずです。


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