この世界が夢だったとしたら?


もしも生まれた時からずっとVR(バーチャルリアリティー)の機器を取り付けられたまま育った子どもが居たとしたら、彼は大人になってからそれが仮想現実だと気づくでしょうか?
大学一年生のときに初めてVRというものの存在を知った私は、そんな事を考えたことがありました。まあ当時のVRのCGはとても酷いものでしたが……。

もちろん、今のゴーグルのようなモニタと手袋のようなコントローラーを使用したものならばそれが人工物だと気づくでしょうが、もし将来技術が発達し、目の網膜に直接モニタが埋め込まれ、手足の神経系に直接コントローラーが埋め込まれたらどうでしょうか?

この思考実験と同じ様に、
「我々が見ている世界も実は存在しておらず、本当は宇宙人が見せている壮大な夢なのではないか?」
実はこの様な問いはホーキングをはじめ、著名な物理学者たちも考えているのですよ。
まるで映画、”トータル・リコール”の様な話ですね。

ですがこの問いに対する物理学者らの答えはみな概ね同じで、以下の通りです。

「たとえこの世界が宇宙人が作った夢だったとしても、我々にはそれが現実だと思って生きる以外の選択肢はない」

つまり一言で言えば、「そんな事は考えるだけ無駄だ」ということです。
仮に、もしそれが事実だとしても証明することは出来ないし、我々にとって何かが変わることもない、というのが物理学者らの一般的な考え方でしょう。(ちなみに大学の物理学科に行って、先生にそんな事を聞くと嫌がられるので注意して下さいね(笑))

さて、ではこの世界が宇宙人が作った夢だとしたら、果たして本当に何も変わらないでしょうか?
確かに物理学は変わらないかもしれませんが、人生観や死生観はどうでしょう? そしてそれを知る術は本当に無いのでしょうか?

もし仮に、何らかの方法でこの世界が宇宙人が作った夢だと知ることが出来たとしましょうか。
確かに明日からの行動は何も変わらないかもしれませんね。いつもどおりに朝起きて、会社や学校に行って、仕事や勉強をして、家に帰ってご飯を食べてお風呂に入って寝ることでしょう。

たしかに行動はいつもと同じかもしれません。
でも本当に何も変わりませんか? いや、感情的な物は取り敢えず置いておくとして、論理的には何も変わらないでしょうか?
物理学者の仕事は何も変わらないのでこれは彼らの管轄外かもしれませんが、人としてはどうでしょう?

今回は答えは書きません。自分で少し考えてみてくださいね。

 
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