確率の本当の意味


日常的に確率という言葉は良く使うと思いますが、確率は元々数学用語であり、数学における確率はきっと日常で使うものとは少し異なると思います。

例えば、宝くじに当たる確率とサイコロを振って6が出る確率はどちらが高いでしょうか?
当然、誰でもサイコロを振って6が出る確率の方が高いと言うでしょう。これについては、日常的な意味でも数学的な意味でも正しいです。

ではここで仮に宝くじを一枚買い、サイコロを一回降るとしましょう。サイコロは6の目が出ると当たりだとすると、宝くじとサイコロはどちらが当たりやすいでしょうか?
当然、サイコロのほうが当たりやすいと思う人が多いと思いますが、数学はこの問いには答えません

数学的な意味での確率というのは、実験を何度も繰り返した時にその結果がどこに収束するのかを示しているだけのなのです。
例えばサイコロならば、何度も振っていくと大体6の目が出るのは6回に1回の割合で起きます。600回振れば100回に近い値となり、6000回振れば1000回に近い値になります。これは何度実験をしても必ずそうなるのです。
そして実験の回数を増やすほど、綺麗に1/6の割合で6の目が出るわけです。

宝くじに当たる確率を仮に1/100万とすると、概ね100万回宝くじを買うと1回当たるような結果になるというのが、数学の説明です。

つまり、たった一回の実験でどちらが出やすいかという問いには数学は答えられないのですよ。実際に宝くじに当たってサイコロを振ったら6以外の目が出ることもあるのですから。
ならばそれは宝くじに当たった人にとっては、どんなに低い確率の事象でも100%の出来事だったと言えるでしょう。
数学や科学は、次の一回で何が起こりやすいかについては管轄外なため言及していないのです。

ただし、人間の一般常識的や経験則では高確率の現象の方が起きやすいと思うのも、それは自然なことでしょう。
でも科学的に言えば、どんなに低い確率であっても次の一回については確率とは関係なく起きうるのです。

例えば、あなたがこの世に生まれる確率を考えてみてください。更に言うならば、地球や人類が生まれる確率にしてもしかりです。
また改めて説明するつもりですが、これらは宝くじに当たる確率なんかの比ではなく、どちらも限りなく0に近いのです。

もう言わんとしていることが分かるでしょう。
起きることは、確率に関わらず起きるのですよ。

今回の話はこの宇宙を理解するために重要なものです。
例えば”ファインチューン”や”人間原理”(共に後述予定)的な考え方を理解するためにも重要ですので、覚えておいてくださいね。


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