この世界は何からできているのか



この宇宙、と言うよりも“この世界”は一体何で出来ているのでしょうか?
誰でも一度はそんな疑問を持ったことが有ったと思います。

石を砕いて小さくしていくと砂のようになる。それをもっともっと細かく砕いていくと最後には何になるのか?

実はその答えは、物理学によってかなりの所まで解っているのですよ。
我々が普段、“物質”と呼ぶものは全て分子や原子から出来ていることは多くの人が知っていると思います。義務教育でも習いますしね。
分子はいくつかの原子がくっついているものです。例えば水ならば、H2Oという分子であり、2つの水素原子と1つの酸素原子がくっついている物です。なので物質は全て原子から出来ている、ということになるでしょう。

では物質以外には何が有るの?と思うかもしれませんが、例えば光や熱、音なんかは物質ではありませんよね。
或いは、人間の心も物質ではないと考える方が多いでしょう。

話を一旦戻しましょう。
では原子が最も根源的な粒子かと言われるとそうではありません。
原子は原子核と電子と呼ばれるものから構成されています。更に原子核は陽子と中性子と呼ばれるものから構成されています。
ちなみに原子の違いというのは、この陽子と電子の数(両者は同じ数です)の違いによるものです。それによって色々な化学的性質を持つものが生まれるわけです。

さて、その陽子と中性子ですが、これらも更にクォークと呼ばれる細かい粒子から構成されています。
電子とクォークはそれ以上分割することは出来ない最も根源的な粒子で、それらの粒子のことを“素粒子”と呼びます。

ちなみに上記の物質ではないと書いた光も、光子という素粒子で出来ています。
熱はこれら素粒子や原子の動く数と速さのことです。音は空気の振動なので、まあ空気を構成する原子の振動ですね。
ちなみに電磁気力や重力などの力も、それを媒介する素粒子が有るとされています。
つまり重力や磁石の力も、素粒子が伝えているということですね。

この素粒子というのがとても不思議で、例えば電子を取り上げると、宇宙のどこにある電子も全く同じものなのですよ。
もし人が石を拾ってくると、2つとして同じ石なんてありませんよね? 拾う場所などによって色も形も特徴も異なるでしょう。
でも素粒子やそれから構成される原子は、いつ、どこから持って来てもクローンの如く全て完全に同じ物なのです。
よって地球上の全素粒子が、全て1億光年先の惑星で採れた素粒子とそっくり入れ替わっても誰も気づかないでしょう。
何だか面白いですね。

ならばこの宇宙の全ては素粒子で出来ていることになりますね。
昔ならばそう言って終わるところですが、実は最新の物理学ではその先のことまで解っています。

実は全ての素粒子はとても小さな“ひも”から出来ているというのが、現在有効な考え方なのです。
そして多くの種類がある素粒子の違いは、単にひもの振動の仕方が違うだけだ、というのが“超ひも理論”と呼ばれる理論の考え方なのです。
ですが「その”ひも”は何から出来ているのか?」と問うことは出来ません。
なんとその”ひも”は、どんな装置を使っても見ることが出来ない程にとても小さく、更に11次元の次元を持つとされているのです。
そしてこれは”ひも”を構成する材質なんて概念もないただの”線”であり、単なる数学的な概念なのです。
よってこんな物は仮に有ったとしても、誰も見ることも触ることも出来ません。完全に物理学上の概念の中だけに有るものなのです。

そんなものからこの世界の全ての物質は出来ているのです。
つまり、

「この世界は概念で出来ている」

とも言えます。

仮にこの超ひも理論が正しいとすると、この宇宙に有るあらゆる物は、あなたや私の体も含めて小さな”ひも”から出来ているということになりますね。
まだ完成されていませんが、多くの物理学者は恐らくこの理論は正しいと考えています。

そんな有るかどうかわからない“ひも”が万物の源だとすると、何だか「存在とは何なのか?」という深遠な疑問が湧いてきますよね。
光は光子という素粒子から出来ていて、その光子も”ひも”なのだから目に入る景色、或いはテレビやスマホの光も、全て”ひも”ってことになります。それどころか光が入る眼球も、それを認識する脳も全て”ひも”で出来ているのです。

これでは「実は物質は存在しているように見えるだけではないか?」「機能が有るだけではないか?」などと考える人が居るのも当然でしょう。

そして更に付け加えるのなら、この超ひも理論は仏教の教えにとても似ている部分が有るのですよ。
この話は重要なので、後にゆっくり書きますね。


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