日本が好きだけど、愛国心のない若者は矛盾している?


以前、朝まで生でやっているテレビでこんなディスカッションがありました。

日本の若者にアンケートを取ったところ、
「もし他国からの侵略などで日本が危機に陥ったら、武器を手に取り命をかけて戦うか?」
という質問に対して、YESと答えた若者は確か10%未満と世界で最低水準だったそうです。

なのに、
「日本が好きですか?」
という質問に対しては、YESと答えた若者が80%を超えたそうです。
これに対して、結果が矛盾していて理解できないと大人(高齢者に近い?)たちは言っていました。
つまり、日本の若者たちには“愛国心が有るのか無いのか判別がつかない”そうです。

ですが私には実に理にかなったアンケート結果だ思われ、何の矛盾も感じませんでした。
むしろ、いかにも日本の若者が答えそうな結果だと納得していました。
今回はそんなお話を書いてみます。

若者たちが言う「日本が好きだ」は、大人に分かる言葉でいうと「不便が無い」という意味でしょう。
或いは「都合が良い」、「便利」と言ってもいいですかね。

流石に現代の若者たちは世界の情報をある程度知っています。世界には言論の自由がない国も有るし、治安が悪い国も多く有る。
独裁国家も有れば、民主主義の先進国であっても医療費が高すぎて病気になると困る国も有りますね。
更に世界を見渡せば、戦争中や紛争中の国だってたくさん有るでしょう。

日本ほど自由で安全で治安が良く、経済的に豊かで、貧富の差も比較的少ない国はないでしょう。郵送物が盗まれることもないし水道水や食べ物も安全です。
また日本では若者が徴兵されることもありませんし、医療保険や福祉も整っています。
国民は民度が高く、地震や台風などの大災害が起きても他国のような暴動は起きません。
夜中に若い女性が一人で外を歩ける国なんて、世界広しと言えども日本くらいでしょう。
海外旅行に行くときにも、”世界最強”と言われる日本のパスポートを持っていれば、どこにだって入国できます。

よって日本人であること、そして日本に住むことには「不便が無い」のですよ。そんな不便のない国だから好きなのです。これが80%を超える若者が、「日本が好き」だと答える正しい理由でしょう。

例えが悪いかもしれませんが、わかり易い例なのでこの日本の若者と国の関係を、男性とその恋人の関係に例えてみましょう。

自分が男性だとして、恋人の女性がお金を稼いで自分に渡してくれて、家事も料理もしてくれて、容姿も美しいとしましょう。しかも自分が浮気をしても怒らないし、結婚を迫ることもなく、こっちの言うことは殆ど何でも聞いてくれます。
これは男性にとってはとても都合のいい女性でしょうね。別の言い方をすれば「便利な女性」です。

もしも「そんな彼女が好きですか?」と尋ねられたら、男性はまあ、嫌いとは答えないはずです。特に理由がなければ別れようとも考えないでしょう。

ではそんな便利な彼女があなたと一緒に歩いている時に暴漢に襲われて、拐(さら)われそうになったとしましょうか。
しかも暴漢たちはナイフや拳銃を持っていて、助けようとすれば確実に男性も怪我をするか、最悪命を落とすとしましょう。
そんな時に男性は、その便利な彼女のために命をかけて戦って助けますか?

自分に何の害もなくメリットしか無いから、“便利な女性”なのです。ですが彼女のために自分が殺される可能性があるとしたら、それは最高レベルの“不便”と言えるでしょう。
なのでその男性は、命をかけて彼女を助けることはしない気がしますよね?
もし男性が命をかけて彼女を助けるとしたら、その理由は一つしかありません。言うまでもなく、男性が彼女を愛しているケースです。

日本の若者と国の関係もこの例と同じです。
徴兵されたり命を脅かされることがない、嫌なことがない国だから、“不便がない国”なのです。だから好きだと答えたのですよ。
なのに命をかけて戦うとなったら、これまた最大レベルの“不便がある国”になってしまいます。だから誰も、命をかけて戦うとは答えないわけです。

ですがそもそも今の平和な日本で武器を取るだとか敵が攻めてきて戦うと言っても、若者たちはピンとこないと思います。(私もそうですが)
よって「日本が好きですか?」という質問の後に、こういう質問をした方が意を捉えるしょう。

「ではその、あなたが好きな日本をこれからもずっと継続させるためだったら、自分の命をかけられますか?」

その答えが彼らの本当の心情をあぶり出すはずです。そして上記のカップルの例と同じ様に、愛があるかどうかがその答えを決めるのです。


戻る        トップページ