量子コンピューターはなぜ計算が速いのか? 前編


本記事はVR仮説を使用する記事です。
科学のジャンルに入れましたが本記事はVR仮説の核心部分に触れる内容なので、VR仮説を理解する上でとても重要であるのと同時に、恐らく難解でもあると思われます。

出来る限り一般向けのわかりやすい説明にしたつもりですが、コンピューターに詳しくない方は完全に理解するのに年単位の時間が掛かるくらいの覚悟で居るのが良いと思います。
もし完璧に理解できたならVR解釈の理解度も高いし、それこそ悟りに近づいたと言えるでしょう。


さて、本サイトにも何度か登場している量子コンピューターですが、その計算速度は現在使われている半導体を使ったスーパーコンピューターの数億倍から数兆倍の計算速度になる事もあるとされていますね。
もちろん、量子コンピューターには得意な計算と苦手な計算があるので、その最も得意な計算と現在のコンピューターを比べた話だとは思いますが、それにしても凄まじい速さです。

そしてこの量子コンピューターの計算速度が異常に速い事は、実はこの宇宙の真理、つまりVR仮説と密接に関わっているのです。

量子コンピューターの計算手法自体は量子力学で使用される式をそのまま使った物であり、これは普通の物理現象なのですが、結果だけを見ると、つまりコンピューターの計算速度だけを見ると、原理的にどうしてこんなに速い計算が出来るのかは実はまだ良く分かっていません。

因みに量子コンピューターの生みの親の一人であり物理学者であるデイビッド・ドイチュは、量子コンピューターの計算速度の速さの理由を「複数のパラレルワールド(並行宇宙)で同時に計算しているからだ」と本気で言っています。

これは量子力学の多世界解釈から来るものだと思われますが、まあかなりぶっ飛んだ説明ですよね……。
仮にパラレルワールドが存在していたとしても、計算をどうやって他の宇宙に分配し、そしてまたどうやって答えを一つの宇宙に戻しているのでしょか??
またビット数(Qbit)を増やしていくとパラレルワールドの数が指数関数的に増えることになりますが(例えば現在のパソコンで主流の64ビットなら18446744073709551616個)、パラレルワールドは一体いくつあるのでしょうか?

実は量子コンピューターの概念というのはとても難解です。一応、数式が登場しない一般向けの分かりやすい講義がYouTubeに載っていたので紹介しておきましょう。


これは慶応大学で行われた講義の一部らしいですが、それにしてもこんなクオリティーのものが無料で見られるなんて、本当に良い時代になりましたね。
私がこの動画をYouTubeではじめて見た時には小さな感動すら覚え、もし私が学生時代にこんな講義が聴けていたら何かが変わっていたかも知れないと思いました。なのでとてもお勧めの動画です。

私には大いに参考になり多くのインスピレーションを貰った講義ですが、数式が登場しないとはいえこの講義だって普通の人には(きっとかなり)難しいと思われます。
ですがVR仮説を知った後にこの講義を見ると、正にVR仮説に繋がる話をしているように聞こえるかも知れません。
よってこの講義が完璧に理解できたなら、VR仮説の理論的な理解も容易になることでしょう。


さて、ではいつもの通り識者ではなく一般に向けた、私の言葉で量子コンピューターの要点を簡潔に説明してみましょう。
量子コンピューターを知るためには、まずは“情報”というものに対する理解がとても重要になります。
情報というのはいいですね? 例えばスマホで取った写真や動画も情報だし、文字や数字も情報です。コンピューターで扱える物は全てが何らかの情報です

そしてその情報を処理する機械がコンピューターだと理解すれば良いでしょう。大学でもコンピューターを専門に扱う学科は”情報数理学科”の様な名前が付いているはずだし、コンピューター系の国家資格も”情報処理技術者”などと呼ばれていますよね。
つまりコンピューターというのは広義では情報を処理する機械なのです。
因みにコンピューターの本業である数値計算も情報処理の一種です。

そしてとても重要なのが、情報というのは必ず物理的な何かと対応する形で表わされるということです。
例えば、ソロバンならば石の位置が数値を表わしていますよね?
黒板にチョークで書いた文字ならば黒板とチョークの粉が情報を表わしているし、CDやDVDならばディスク上の微細な凹凸が情報を表わしています。

スマホを始めとした現在のコンピューターのメモリーも同様に、半導体のトランジスタなどが電気を使って情報を保持しています。
これが情報を表わすためには必ず物理的な何かと対応する必要があるという意味です。

物理的に何も結びつけられず、純粋に情報だけが存在する事は出来ません。

しかしながらVR仮説を使って説明すると、この宇宙は全て情報で出来ていることになります。だってコンピューターで作られた世界の中には情報しかありませんからね。

では先にタイトルになっている疑問の結論から言うと、

従来のコンピューターが物理シミュレーションを行って計算してるのに対し、量子コンピューターは直接マスターコンピューターのCPUを使って計算しているから桁違いに計算が速い

のですよ。

少し前に、日本が誇る世界最速のスーパーコンピューター”富岳”が、コロナウィルスの感染のシミュレーションを行ったのをテレビ等で見た事はありませんか?

人が座った状態でしゃべった時に、飛沫(唾)がどのように空気中に伝わるのか、マスクをするとどれくらいそれを抑えられるかといったシミュレーションだった思います。
あれが物理シミュレーションの一例です。たった一人がしゃべった時の飛沫の飛び方のようなとても単純な現象であっても、精密な物理シミュレーションをするとスーパーコンピューターを使わないといけない(現実的な時間内に結果が出ない)ほどの膨大な計算量となるのです。

飛沫拡散シミュレーションについて、一応リンクだけ張っておきます。
https://youtu.be/VfdzPdvKKCU


ではここで分かりやすい例を考えてみましょう。
現在のパソコンの中でボーリングをシミュレートすることを考えてみます。これは比較的簡単でしょう。
因みに物理シミュレートをしたビリヤードゲームだったら昔に見たことがありますが、ボーリングゲームはあるのでしょうか??

比較的簡単とは言え、ボーリングだって完全な物理シミュレートをするとなると計算量が多くなります。
ボールの形と大きさ、質量、床の摩擦係数、投げた時の速度、角度、回転量、回転方向、空気抵抗なども考慮し、最終的に十本のピンをどのように倒すかを計算するのですから、結構な計算量となる事が予想できますね。
これを現代のパソコンで計算すると、それなりの時間が掛かる事でしょう。
具体的な時間はどの程度の精度を求めるかによりますが、パラメータの設定次第では1時間以上の計算時間が掛かることだってあるはずです。

では同じボーリングの物理シミュレーターとして、私がもっと優れたコンピューターを考えてみましょう。目的は上記と同じで、あるボールをある条件で投げた時に結果がどうなるかを知るためのコンピューターです。
更にこのシミュレーターには地球の自転の影響や月の引力の影響などの、あらゆる計算が含まれていて結果がとても正確です。

私の作るボーリングのシミュレーターは、巨大な箱の中にボーリング場をそのまま再現し、床の摩擦係数から気温、気圧、ピンの質量や形まで、完全に同じ物を再現します。
そして指定された条件で実際にボールを投げてみて、十本のピンがどのように倒れるのかを観察するのです。
このコンピューターの特徴は、結果が非常に正確な上に計算速度がとても速い事です。

同様にして、上記のコロナウィルスの飛沫拡散シミュレーターも私ならとても安く作れます。
巨大な富岳と同じ大きさの箱の中に、こっそり人を入れて実際にしゃべってもらい、飛沫がどのように飛散するのかを高感度カメラで撮影するのです。
これも結果が富岳よりも正確な上に、計算時間もとても短く一瞬で終わります。計算速度はきっと富岳の何億倍も速い事でしょう。

さてどうでしょうか? 私の考えたシミュレーターは。
きっと、
「って、おい! それは反則だろ!!」
と突っ込みを入れたくなるはずです(笑)。

「それってシミュレーションではなくて、実験だろう?」と。
その通り。ですがこの世界に於ける実験というのは、つまりは全てマスターコンピューターのCPUを使用した計算(物理シミュレーション)の事なのですよ。

実は量子コンピューターの計算速度が桁違いに速い理由はとてもシンプルで、量子コンピューターの仕組みというのは上記の例の様に内部で実験をやっているのと同じだからなのです。

量子コンピューターに限らず量子の世界では、マスターコンピューターは計算量を節約するために殆どの途中計算、つまり物理シミュレートを省略しています。
つまり量子コンピューターは物理的な何かを介して情報を処理するのではなく、直接情報を処理しているのですよ。
だから桁違いに計算が速いのです。

続く……。

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