十代の頃に描いていた通りの人生にならないのはなぜか



大人の皆さんならば、人生が子供の頃や若い頃に予定していた通りにならない事は良くご存知でしょう。
(もちろん、ごく一部の人を除いてですが)
そしてそれを、夢が叶わなかった、妥協した、才能がなかった、などとネガティブに捉えている人が多いかもしれませんね。

ここではこの現象について、少し科学的に考えてみましょう。
私から2つ問いかけます。

1,自分が10代の頃の知識に基づく世界と、大人になった現在の知識に基づく世界は同じですか?

2,自分が10代の頃と大人になった今とで、社会は変化していませんか?


1について:


これは当然、同じではないはずです。子どもには”子供の乏しい知識”に基づく発想しかできません。
子供とは言わなくても、中高生、大学生などの学生時代の知識と30代、40代の知識は全く異なるはずです。

例を挙げましょう。小学生に将来なりたい職業を尋ねると、プロ野球選手やサッカー選手、パイロット、今ならユーチューバー何かがいつも上位に来ますね。
これらが彼らの知識による世界観なのです。
子供は決して”発電所の冷却水の熱流体シミュレーションエンジニア”や、”M理論の研究者”になりたいなどと言うはずもありません。
それらは子どもが知らない世界なのですからね。

ではプロ野球選手についてなら子どもは知っているのでしょうか?
知っていると言っても、限界があるでしょう。子供は当然テレビや球場に出ているシーンしか知らないですよね。
選手になるための具体的なことや裏側のこと、選手のプライベートな練習や球団との契約の苦労や、引退後の生活などは知るはずもありませんよね。
当たり前です、子どもなんですから。それが子供の想像力の限界なのです。
なので、そんな子供の頃の夢が叶わなかったことを悔やむ人は少ないでしょう。
大人になれば知識が増えるとともに、判断材料が増え、選択肢が増えるのが普通なのです。
その結果として、子供の頃とは違う目標を選択をすることも至って普通のことでしょう。


2について:

では、小さい子供ではなくある程度脳が成長して、社会も知った高校生以上レベルの、具体的な進路が決まる年齢だったらどうでしょう?

ここでもう一つの例を挙げましょう。
例えば私が高校生の時代はバブルのピークで、いい高校に行って、いい大学に言って、大企業に就職すれば年功序列、終身雇用で死ぬまで安泰だと言われていました。大人が皆そう言うものだから、若い人たちも本当に皆そう信じて未来を描いていたのですよ。

でもそんな未来は存在していませんよね? 今は一流大学に行っても大企業に入れる保証はありませんし、大企業にいても安泰なんてことはありません。終身雇用も年金もかなり危ないでしょう。
つまり私が高校時代に描いていた未来は実在していなかったのです。
社会は常に変化していて、バブル時代当時に人々が思い描いていた未来の社会は、実際にはどこにも存在していません。

また時代の変化によって無くなった職業もたくさん有るはずです。エレベーターガールやレコードショップの定員などという職も今は殆どありませんよね。
逆にユーチューバーの様な職は昔はありませんでした。

はっきり言いましょう。

10代の頃に将来の予定として描いていた未来は、実在していない

のですよ。
なのにそれが叶わず悔やむことは、”存在しない幻”と比較して悔やんでいるのと同意です。


これら1,2の答えから、なかなか”十代の頃に描いていた通りの人生”にはならないのです。
そしてそれはあなただけではないし、あなたのせいだとも言えません。

あの時あの大学に入っていれば、あの時あの会社に入っていれば、あの時あっちの人と結婚していれば、もう少し体が健康なら、なんて考える人はもう一つの選択をしていた人生を妄想しがちです。
そしてなぜかそっちの人生の方がいい物を描きがちですよね。だって、そのために妄想するわけですから。
どうやらこれは人間の脳の仕様のようです。

ですがもしあの時、違う選択をしていても、そっちの人生は実際には今描いているものとは異なります。
確かに今送っている人生とは違うものにはなっているでしょうが、今思い描いているものは実在しない幻なのです。
実在しない幻と比べて自分が選んだ今の人生を卑下するのは、まあ愚かしいことですよね。

ですが、、、だからといって若い頃に立てた目標や夢をすぐに諦めてしまうのが良いと言っているわけではありませんよ。
今回書いたことは、死ぬ前に後悔することは全世界で同じと対になるものです。
これは科学的思考であり、気休めを書いているわけではありません。

ただ、描く目標というのは自分の知識や経験の増加、そして社会の変化とともに修正を繰り返しながら達成していくのが通常だ、というのが私の考えです。

選ばなかった人生を美化し過ぎるすることなく、逆に現状に気休めを求めることもなく、将来後悔のないように正しい判断をして生きていきたいですね。
 

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