未来の経済を決めるもの 前編
以前に経済学の勉強をしていると言いましたね。今回は未来の時代、つまり私の言葉で言うところの「満腹パイ時代」の経済学について考えてみようと思います。
皆さんは国の経済力を決めるものは何だと思いますか?
一般に経済は「需要と供給」で決められていると言われていますね。これを少し正確な言葉で言えば「消費量と生産力」です。
わかりやすいように「お米」で例えるなら、生産力は文字通り農家の人達が生産出来るお米の総量。そして消費量はこれも文字通り国民が消費するお米の総量です。
他に自動車の例ならば(簡略化のために輸出入は無いと近似して)生産力は、自動車メーカーが生産可能な自動車の総量のことで、消費量は国民が購買する自動車の量のことです。
実際の生産とはモノだけでなく、サービスも含まれます。美容院で髪を切ったり医療を受けるのも生産と消費と定義します。
そして当然ながら、消費量が生産量を上回ることは出来ませんね。なので消費量は生産量以下となります。
そして消費をした分だけお金の支払いが発生するので、これは国民の所得の合計と一致します。
つまり、
生産量の合計 ≒ 消費量の合計 = 所得の合計
となるはずですね。
経済学の世界では「生産量と消費量の合計が一致する」という説明をよく見ますが、製品を生産しても売れずに在庫を抱えることもあるので、ここは必ずしも一致はしないはずです。
そして上記の総量のことを国内総生産、英語で言えばGDPと呼ぶわけです。
そしてこのGDPこそが、一般に「国の経済力」と呼ばれるものです。
私の叔父は著名な経済学者だったのですが、「デマンド・オン・サプライ」と「サプライ・オン・デマンド」のどちらが正しいのかが永遠のテーマだなんて言っていました。
デマンドとは需要のことでサプライとは供給のことです。つまり需要が供給を決めるのか供給が需要を決めるのか、果たしてどちらが正しいのか? という意味だったのだと思います。
現在の社会を見れば、「需要があればその分だけ供給をする」というのが正しそうに見えますかね。
商売人の立場から見れば、生産するだけ、つまり供給量を増やせば増やすだけ需要が増えて全部売れるなら、こんなに楽なことはありません(笑)。
実際の社会では、不人気な商品をいくら生産したところで売れることはありませんからね。
不味いラーメン屋はいくらたくさんラーメンを作っても売れないし、つまらないアプリも誰も課金しません。
では上記を前提にして、次にインフレ(インフレーション)とデフレ(デフレーション)の解説をしてみましょう。
一般にインフレとは物価が上がることを指し、デフレとは物価が下がることを指すと習いますが、正確には異なります。
もともとインフレとは「膨張する」という意味であり、デフレとは「しぼむ」という意味です。
では何が膨張したりしぼんだりするのかと言えば、それは経済規模、すなわちGDPです。
そして物価が上がったり下がったりするのは、結果論なのですよ。
インフレには主に「デマンドプル型インフレ」と「コストプッシュ型インフレ」と「サプライロス型インフレ」の三つがあります。
デマンドプル型インフレとは文字通り、需要が牽引するインフレです。
例えば全国民が突然、キャベツをたくさん食べるようになったら、生産と供給が追いつきませんよね?
すると国民の間で少ないキャベツの取り合いが起きます。結果としてキャベツの価格は上がることでしょう。これがデマンドプル型インフレで、言うなれば良いインフレです。
結果として農家の所得が増え、農機具や畑に投資してもっと多くのキャベツを作れるようになります。
では次にキャベツの需要が増えたので農家が一斉にキャベツを作り始め、今度は逆に作り過ぎてキャベツが余ったとしましょう。すると今度はキャベツの価格が下がりますよね?
丁度良い価格で止まれば適正価格に収まるでしょうが、やがてキャベツブームが去って国民がキャベツを食べなくなるとキャベツの価格は下がり続け、やがて農家も儲からないのでキャベツを作るのは止めるでしょう。
つまり生産も消費も減って、キャベツ市場自体がしぼむ。これがデフレです。
よって少し供給力不足の方が生産を増やすための新たな投資が行われるため、経済成長には少しのインフレ状態が必要となるわけです。
そしてインフレには現在のように、コストプッシュ型のインフレというものも存在します。
現在の物価上昇は凄いですよね? ですが経済規模はそれ程上がっていません。
物価を押し上げているのはひとえに輸入資材の高騰です。だから所得は増えないのに物価だけが上がるのです。
そして輸入資材高騰の原因は円安やウクライナ戦争など、海外が絡むものです。この様に外国が絡んでくると話が複雑になるわけです。
因みに消費増税も立派な物価上昇の要因です。全ての物価を10%上げているのですからね。
経済成長しないのに物価だけが上がる。これは皆が貧しく不幸になる悪いインフレです。
最後にサプライロス型インフレですが、これは国民の消費量が変わっていないのに供給量が下がることによるインフレです。
例えば国民の米の消費量は変わっていなくても米が不作ならば供給量が不足して、結果として米の価格は上がりますよね?
これはサンマの様に昔は多く捕れたのに最近は不漁が続く魚介類についても同様です。
話を戻しましょう。
では現在の日本で、経済力の上限値を決めているのは何だと思いますか?
続く……。
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