人が死なない戦争にも反対ですか?


昨今ではテレビを付けると戦争のシーンばかりを見かけますね。
ウクライナ戦争は終わる気配がないし、更にイスラエルが本格的に戦争に突入しそうです。

この様な状況でいきなり人類が戦争を根絶出来ると考えるのは、いささか夢想家が過ぎるというものでしょう。
むしろもしかしたらウクライナ、中東、台湾で戦争が同時に発生して、アジアを含めた世界規模の大きな戦争が近い未来に待っている可能性すら有るかも知れません。

人類が戦争を根絶出来る日がいつ来るのかはわかりませんが、その日が来るまでには必ずいくつかのステップを踏むはずです。
そして我々にとって最も近い未来に訪れるステップが恐らく

「人が死ななくなる戦争への移行」

だと考えています。

例えばアメリカ軍では現時点での最新の戦闘機が、パイロットが操縦する最後の戦闘機だとされているそうです。
つまり次の世代の戦闘機は、全て無人機(ドローン)ということになります。

当初は無人機といっても、実際には人間が遠く離れた基地からリモートで機体を操縦する手法だと思われます。これならば確かに戦闘機が撃墜されてもパイロットは死にませんね。
しかしながら兵器には次のステップが存在します。それは人が操縦するのではなく、AIが操縦する完全に自律型の無人機です。このステップでは操縦だけでなく、攻撃もAIが行うことになるでしょう。
ではなぜ最終的に人間ではなくAIが操縦と攻撃をすることになるのか? それはAIの方が圧倒的に人間よりも優れているからです。チェスや将棋と同様に、その時代には人間はAIに全く歯が立たないことでしょう。

その時代にはもちろん、敵の軍隊もAIを搭載した完全自立型の兵器を準備してくるでしょう。だって人間では全く勝負になりませんからね。
つまりこの時代の戦争は完全に機械同士の戦いになり、人間は蚊帳の外となるはずです。
そしてこの戦争は、機械兵器同士の決着がついた時点で終了です。人間では機械兵器に歯が立たないのですから、その後に例えば人間が銃を持って戦う意味などないのです。ええ、無駄に死者を出すだけですから。

その時代にも国際法に則って戦勝国が敗戦国に対して色々な要求をすることが出来るのはきっと今と同じでしょう。武力で決着を付けることが良いことなのか悪いことなのかは判りませんが、少なくとも人が死ななくなるだけ今よりかなりマシになるのではないでしょうか?
だって戦争に反対する殆どの人たちの理由は「人が死ぬから」ではないですか?

戦争が根絶される時代より先に、確実にこの「人が死なない戦争」の時代が来るはずです。
しかも チェス盤の後半に書いたとおり、AIの進歩を考えるとその時代はきっともうすぐです。
なのに誰もこの件について議論をしていませんね。

だから私はその時代への心の準備として、また今すぐに皆で考えるべきテーマとして“石の軍師”を書いたんですけどね。これはある科学小説のコンテストに応募したのですが、結果は落選でした。

因みに私は今までに単なる娯楽の小説は書いたことがありません。
SF小説の社会的な役割とは? に書いた様に、政治家やメディアよりも半歩先んじた思考でこういう作品を提示していく事は、SF作家としてとても大切な義務だと考えています。ですが落選しては誰にも読まれることはありませんが……、それが現代の評価なのでしょう。
正にジレンマですね。

さて、日本は世界で最も「戦争反対!」と言っている国だと思いますが、もし戦争に於いて人が一人も死ななくなっても反対なのでしょうか?

もし戦争というものから人類が逃れられないとしたなら、まずは戦争で人が死ななくしてみてはいかがでしょうか?
その解を是とするならば、日本に出来ることも多く存在すると思います。例えばその時代を早く来させるためにAIの研究に力を入れることもその中の一つでしょう。

それにプラスして石の軍師に書いたように戦術のアルゴリズムを考えたり、戦闘の機械学習をいち早く始めることもとても有効でしょう。
そしてもしも日本産のAI(コンピューター)が世界最強になれば、核など持たなくても外交交渉力が格段に上がるし安全保障の問題も解決してしまいますね。
また防衛費はうんと下がるし、AIを他国に販売すれば大きな収益にもなるはずです。

更に言うなら(一般公開の場所に詳しく書くことは控えますが)もし日本産のAI兵器が世界中で採用されれば、輸出用のAIに日本だけは攻撃出来ないコードを仕込んでおくだけで安全保障の問題は解決でしょう。これは見事な専守防衛だと言えますし、当然ながら憲法にも抵触しません。

逆に言うと戦闘AIのデファクトスタンダードを作った国が今後の世界の覇権を取ることは間違いありません
そしてまだどこもやっていない今こそが始めるチャンスなのですよ。憲法九条を有する国の長期的な国家戦略として、日本がやってみるのも一つの手ではないでしょうか?


そしてもっと先に思考を進めるなら、どうせ機械同士の戦争なのだから、その戦闘を全てコンピューターシミュレーションでやってしまってはどうでしょう? 機械兵器のスペックや保有数のデータを入れればかなり精密なシミュレーションが出来ると思われます。
ならば人が死なないどころか機械や物が破壊されることもないし、経済的な損実もありません。もしこの方法に問題があるとしたら、それでは納得しない人が居ることでしょうか?

さて、この「人が死なない戦争」について、皆さんはどう思いますか?

良ければ皆さんのご意見をお聞かせください。


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